【ヒロアカ】轟焦凍の名言集|「なりたい自分」を見つけた家族と友達の言葉

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轟焦凍 アニメ、漫画の名言

イケメンだけど無口で、どこか冷たい人。

アニメ『僕のヒーローアカデミア』を見始めたころ、私は轟焦凍のことを、そう思っていました。

それが見ているうちに、すごい実力を持ったクールな正統派イケメンに変わっていき、最後には、仲間の前で見せる天然なところと人間味に、すっかりやられていました。

 

焦凍の名言を並べてみると、そこにはいつも家族がいます。

父を否定するために目指した一番。

何年も会えずにいた母。

敵として目の前に現れた兄。

焦凍は、その一人ひとりと、言葉で向き合ってきました。

この記事では、『僕のヒーローアカデミア』の轟焦凍の名言を、アニメの話数とあわせて紹介します。

母がくれた「なりたい自分になっていいんだよ」という言葉は、焦凍から友達へ、友達から焦凍へと渡っていきます。

父の力を拒んでいた少年が「俺の力だ」と言えるようになるまでを、場面と一緒に紹介します。

※アニメFINAL SEASON(通算168話)までの内容に触れています。

僕のヒーローアカデミア(1)
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ガッカ

中学生の頃、名言に魅せられて早30年。毎日名言を探しています。大好きなマンガやアニメを中心にスポーツ選手や声優の心に響く名言を紹介します!

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  1. ヒロアカ・轟焦凍の名言 早見表
  2. 『僕のヒーローアカデミア』轟焦凍とは
    1. 轟焦凍のプロフィール
    2. “個性”「半冷半燃」とは
    3. 轟家のこと
  3. 父を否定するために一番を目指した頃|アニメ1・2期
    1. 「悪かったな…レベルが違いすぎた」
    2. 「お前がナンバー1ヒーローの何かを持ってるなら、俺はなおさら勝たなきゃいけねえ」
  4. 「君の力じゃないか」で思い出した原点|アニメ2期
    1. 「俺だって ヒーローに……!!」
    2. 「捨てられるわけねえだろ そう簡単にくつがえるわけねえよ ただ、あの時…あの一瞬は…お前を忘れた」
  5. 母と向き合う|止まっていた時間を動かす|アニメ2期
    1. 「たとえ望まれてなくたって…救け出す それが俺のスタートラインだと…そう思ったからだ」
  6. 飯田の顔に、昔の自分を見た|アニメ2期
    1. 「やめて欲しけりゃ立て!!!」「なりてえもんちゃんと見ろ!!」
  7. 家族の外で見せた、焦凍の天然と人間味|アニメ2〜6期
    1. 「俺が関わると…手がダメになるみてぇな…感じになってる…呪いか?」
    2. 「いや…ヒーローも泣く時ゃ泣くだろ…多分 …ソバ半玉やろうか?」
    3. 「心臓……悪いんですか?」
  8. 父を「ヒーロー」として見はじめる|アニメ4・5期
    1. 「親父…っ見てるぞ!!!」
    2. 「ヒーローとしてのエンデヴァーって奴はすごかったよ だから親父として、これからどうなっていくのか見たい ちょっとしたキッカケが人を変えることもあるって、俺は知ってるから」
    3. 「俺が憧れたのは、お母さんと2人で見た、テレビの中のあの人だ」
  9. 兄が燈矢だと知って|崩れた家族を立たせる言葉|アニメ6期
    1. 「あいつは…俺だ」
    2. 「泣き終わったら立てよ みんなで燈矢兄を止めに行こう」
  10. 「俺の力だ」あの家に生まれた意味|アニメ7期
    1. 「緑谷、俺の力だ。ありがとな」
    2. 「交わるよ 無理にでも だから 止まってくれ」
  11. 「おんなじだ」兄と同じ好物|アニメ FINAL SEASON
    1. 「おんなじだ!」
    2. 「俺は、自分でなりてえようになれるから」
  12. 轟焦凍の名言が今も刺さる理由
    1. 笑えなかった少年が、笑えるようになっていくから
    2. 迷いながら、自分で答えを出してきたから
    3. まじめさが、天然にも、優しさにもなるから
  13. まとめ:ヒロアカ・轟焦凍の名言が教えてくれること

ヒロアカ・轟焦凍の名言 早見表

まずは、この記事で紹介する焦凍の名言を、アニメの放送順に並べました。

▼1期・2期

  1. 悪かったな…レベルが違いすぎた
  2. お前がナンバー1ヒーローの何かを持ってるなら、俺はなおさら勝たなきゃいけねえ
  3. 俺だって ヒーローに……!!
  4. 捨てられるわけねえだろ そう簡単にくつがえるわけねえよ ただ、あの時…あの一瞬は…お前を忘れた
  5. たとえ望まれてなくたって…救け出す それが俺のスタートラインだと…そう思ったからだ
  6. やめて欲しけりゃ立て!!!/なりてえもんちゃんと見ろ!!
  7. 俺が関わると…手がダメになるみてぇな…感じになってる…呪いか?

▼4期

  1. いや…ヒーローも泣く時ゃ泣くだろ…多分 …ソバ半玉やろうか?
  2. 親父…っ見てるぞ!!!

▼5期

  1. ヒーローとしてのエンデヴァーって奴はすごかったよ だから親父として、これからどうなっていくのか見たい
  2. 心臓……悪いんですか?
  3. 俺が憧れたのは、お母さんと2人で見た、テレビの中のあの人だ

▼6期

  1. あいつは…俺だ
  2. 泣き終わったら立てよ みんなで燈矢兄を止めに行こう

▼7期

  1. 緑谷、俺の力だ。ありがとな
  2. 交わるよ 無理にでも だから 止まってくれ

▼FINAL SEASON

  1. おんなじだ!
  2. 俺は、自分でなりてえようになれるから

『僕のヒーローアカデミア』轟焦凍とは

名言を紹介する前に、焦凍がどんな人物なのかを見ておきましょう。

“個性”と、焦凍の言葉を読むうえで欠かせない家族のことをまとめました。

轟焦凍のプロフィール

  • 名前:轟焦凍(とどろき しょうと)
  • ヒーロー名:ショート
  • 所属:雄英高校1年A組(推薦入学)
  • 個性:半冷半燃(はんれいはんねん)
  • 好きなもの:そば(温かくないもの)
  • 声優:梶裕貴さん

轟焦凍は、『僕のヒーローアカデミア』の主人公・緑谷出久(デク)のクラスメイトです。

推薦で雄英高校ヒーロー科に入った、クラスでも指折りの実力者です。

好きなものが、冷たいそば。

このそばは、焦凍のセリフの中にも出てきます。

ヒロアカ轟焦凍相関図

“個性”「半冷半燃」とは

  • 右側で触れたものを凍らせる
  • 左側からは炎を出す
  • 氷は母から、炎は父から受け継いだ力
  • 物語のはじめの焦凍は、父から受け継いだ左の炎を、戦いでは使わないと決めていた

轟家のこと

焦凍の父は、No.2ヒーロー(のちにNo.1)のエンデヴァーです。

オールマイトを超えられなかったエンデヴァーは、その夢を自分の子どもに託そうとしました。

強い“個性”を持つ子を望んで母・冷と結婚し、生まれた四人の子どものうち、望んだ力を持っていたのが末っ子の焦凍でした。

  • 父:轟炎司(エンデヴァー)
  • 母:轟冷
  • 長男:燈矢
  • 長女:冬美
  • 次男:夏雄
  • 末っ子:焦凍

焦凍は幼いころから、父の厳しい訓練を受けて育ちます。

顔の左側に残るやけどの跡は、家庭の中で心を追い詰められていた母との間で、幼い日に負ったものです。

焦凍の物語は、この家族と一人ずつ向き合っていく物語でもあります。

 

<焦凍の背中を押したデクの物語は、デクの名言の記事で紹介しています。>

『僕のヒーローアカデミア』デク(緑谷出久)の名言|無個性の少年が「君はヒーローになれるよ」と言うまで
「“個性”がなくても、ヒーローは出来ますか?」『僕のヒーローアカデミア』は、無個性の少年がNo.1ヒーローにそう問いかけるところから動き出します。そして10年近くにわたるアニメの最終回で、この問いは思いがけない形でもう一度登場します。私がヒ...

父を否定するために一番を目指した頃|アニメ1・2期

入学したばかりの焦凍は、クラスメイトとも必要以上に関わろうとしない少年でした。

その目が向いていたのは、目の前のライバルより、父のほうだったのかもしれません。

「悪かったな…レベルが違いすぎた」

入学してすぐの対人戦闘訓練で、相手チームの尾白に振り返って。――アニメ1期(通算8話)

焦凍は、同じチームの障子を、建物の外に出しておきます。

おそらく、巻き込むと危ないからです。

焦凍なりの気づかいだったのだと思いますが、少し空気が読めていないところも焦凍らしい場面です。

そして相手チームの葉隠と尾白を、建物ごと凍らせるほどの氷の力で圧倒。

訓練は、あっという間に決着がつきました。

 

相手をばかにしたり、おどしたりしているわけではありません。

父への反抗心と、自分に余裕がないこと、そしてもともと人づきあいが少し不器用なところが、そのまま出てしまったのだと思います。

物語のはじめの、トゲトゲしくて人を寄せつけないクールな焦凍のことを、クラスメイトの瀬呂は「初期ロキ」と呼んでいます。――アニメ5期(通算91話)

氷晶を放つ手、凍てつく突風

「お前がナンバー1ヒーローの何かを持ってるなら、俺はなおさら勝たなきゃいけねえ」

雄英体育祭の騎馬戦のあと、緑谷を呼び出して。――アニメ2期(通算19話)「全てを持って生まれた男の子」

騎馬戦の前、焦凍はチームの仲間に、戦闘では左の炎を使わないと言い切っていました。

ところが緑谷の気迫に押され、とっさに左の炎で身を守ってしまいます。

「いけねえ…これじゃ、親父の思うとおりじゃねえか」――アニメ2期(通算18話)

父の力を使えば、父の思いどおりになってしまう。

それほどまでに、焦凍は自分の炎を拒んでいました。

騎馬戦が終わると、焦凍は緑谷を人のいない場所へ連れ出します。

 

緑谷に、オールマイトと似た何かを感じたからでした。

「緑谷 おまえ… オールマイトの隠し子かなんかか?」

まじめな顔でそう聞いたあと、焦凍は自分の家のことを話し始めます。

父は、オールマイトを超えるために、強い“個性”を持つ子を望んだこと。

自分は、そのために生まれた子どもだということ。

「記憶の中の母は、いつも泣いてる」

緑谷がオールマイトの「何か」を持ってたら、どうして焦凍が勝たなきゃいけないの?

オールマイトって、焦凍のお父さんがどうしても超えられなかった人なんだよね。

そっか。

その「何か」を持ってる相手に勝てば、父の力なしでも上に行けるって証明になるんだ。

このとき焦凍が決めていたのは、父の力を使わずに一番になることでした。

「クソ親父の“個性”なんざなくたって…いや…使わず“一番になる”ことで奴を完全否定する」

自分のための一番ではありません。

父を否定するための一番です。

 

焦凍が家族の話をしたのは、悩みを聞いてほしかったからではありませんでした。

なぜお前に勝たなければならないのかを、緑谷に突きつけるためです。

けれど緑谷も黙ってはいません。

自分にも、救けてくれた人のために勝たなければいけない理由がある。

そう言い返した緑谷とのぶつかり合いが、次の試合の流れを大きく変えていきます。

この回のタイトルは「全てを持って生まれた男の子」です。

これを見て、全てを持って生まれたように見える人にも、悩みはあるよね、と思いました。

私自身、人と比べて自分の悩みが小さく思えたり、恵まれて見える人をうらやましく思ったりしたことがあります。

でも、外から見れば恵まれていても、本人が感じるプレッシャーや親子の悩み、理想とのギャップは、とても切実なものだと思います。

蒼天に輝く氷晶の壁

「君の力じゃないか」で思い出した原点|アニメ2期

体育祭のトーナメントで、焦凍と緑谷は正面からぶつかります。

この試合で焦凍が取り戻したのは、左の炎だけではありませんでした。

「俺だって ヒーローに……!!」

指を壊しながら向かってくる緑谷を前に、封じていた左の炎がよみがえった瞬間の叫び。――原作5巻39話/アニメ2期(通算23話)「轟焦凍:オリジン」

試合は、氷だけで戦う焦凍が押していました。

それでも緑谷は、指や腕をけがしながら、何度も向かってきます。

 

全力を出さないで一番になって父を完全否定するなんて、ふざけるな。

そう叫ぶ緑谷を前に、焦凍は幼いころを思い出します。

父の厳しい訓練に泣いていた日。

かばってくれた母は、焦凍を抱きしめて言いました。

「でも、ヒーローにはなりたいんでしょ いいのよ、おまえは。強く想う将来があるなら」

それでも焦凍は、父の力を使おうとはしませんでした。

 

そのとき、緑谷が叫びます。

「君の、力じゃないか!!」

炎は父の力だと思っていた焦凍にとって、考えたこともない見方でした。

焦凍の中で、もう一つの記憶がよみがえります。

テレビの中のオールマイトに、母と二人で憧れていた幼い日。

そして、母がかけてくれたもう一つの声です。

「血に囚われることなんかない。なりたい自分に、なっていいんだよ」

父を否定するためではなく、ただヒーローになりたかった。

その気持ちが戻ってきた瞬間、焦凍の左側から炎が上がりました。


「勝ちてえくせに…ちくしょう…敵に塩を送るなんて、どっちがふざけてるって話だ」

観客席からは、父が「やっと己を受け入れたか」と叫んでいます。

焦凍は、そちらを振り向きませんでした。

炎を見て笑う緑谷に、焦凍はこう返しています。

「緑谷…ありがとな。」

この短いお礼は、ずっとあとの7期で、もう一度出てきます。

 

試合に勝ったのは、焦凍です。

けれど、この試合の本当の勝ち負けは、そこではなかったように思います。

炎と氷

「捨てられるわけねえだろ そう簡単にくつがえるわけねえよ ただ、あの時…あの一瞬は…お前を忘れた」

試合のあと、通路で声をかけてきた父・エンデヴァーに。――アニメ2期(通算24話)

炎を使った息子を、父はほめました。

そして、卒業したら自分の相棒(サイドキック)になれと持ちかけます。

焦凍は、それをはっきり断りました。

炎を使ったからといって、父を許せたわけではありません。

長い間ためこんできた気持ちは、一度の試合で消えるものではありませんでした。

緑谷の命がけの叫びに、心を動かされたんだね。

うん。

あの一瞬だけは、父への憎しみも迷いも忘れて、ただ「ヒーローになりたい」自分に戻れたんだと思う。

焦凍は、続けてこう言っています。

「それがいいのかわりいのか? 正しいことなのか? 少し…考える」

答えは、まだ出ていません。

このあと決勝で爆豪と戦った焦凍は、一度は炎を出しながら、ぶつかる直前にその炎を消してしまいます。

頭に浮かんだのは、父と母の姿でした。

緑谷との試合では一瞬だけ忘れられた父のことを、今度は忘れられなかったのです。

 

<決勝で焦凍とぶつかった爆豪の言葉は、爆豪の名言の記事で紹介しています。>

【ヒロアカ】爆豪勝己(かっちゃん)の名言集|「助けられてもねえ」から「来い デク」へ
『僕のヒーローアカデミア』爆豪勝己(かっちゃん)の名言を、アニメ1話から最終話まで話数つきで紹介。「助けられてもねえ」「今までごめん」から最終話の「来い デク」まで、少しずつ言えるようになった言葉をたどります。

 

迷いを抱えたまま体育祭を終えた焦凍が、まず向かったのは、父ではなく母のところでした。

母と向き合う|止まっていた時間を動かす|アニメ2期

父と向き合うより先に、焦凍には会わなければならない人がいました。

何年も会えずにいた、母です。

「たとえ望まれてなくたって…救け出す それが俺のスタートラインだと…そう思ったからだ」

母の病室に入り、何年ぶりかに声をかけたあと、心の中で。――原作5巻44話/アニメ2期(通算25話)

体育祭の表彰式で、オールマイトは焦凍に、決勝で炎をおさめた理由をたずねました。

焦凍は、オールマイトのようなヒーローになりたかったと打ち明けます。

けれど、自分だけが吹っ切れて、それで終わりにはできない。

うつむいていた顔を上げて、焦凍はこう続けました。

「清算しなきゃならないものが、まだある」

 

焦凍は、自分の顔を見ると母を苦しめてしまうと思い、母が入院してから一度も会わずにいました。

 

母は、自分に会いたくないかもしれない。

それでも行く。

病室の扉を開けながら、焦凍は心の中で思います。

「理想のヒーローになるには、会って話を…たくさん話をしないと」

そして、声をかけました。

「お母さん」

相手に望まれていなくても救けに行くという、焦凍が目指すヒーローの姿が、ここではっきり形になりました。

この場面を見て、よく一人で病室に入ったなと思いました。

人って、わだかまりがあると、なかなか自分から話をしに行こうとは思えないものです。

このあと母と何を話したのかは、4話あとで、焦凍の心の声として語られます。

今までのことも、自分の今のことも、全部話した。

母は泣いて謝り、驚くほどあっさりと笑って許してくれた。

焦凍が何にも囚われずに突き進むことが、自分にとっての幸せであり救いになる、と言ってくれた。

救け出すつもりで会いに行った焦凍は、母の言葉に送り出されていました。

 

その後、焦凍は職場体験の行き先に、父の事務所を選びます。

その職場体験の最中、焦凍はある友人のもとへ駆けつけることになります。

摩天楼の空へ伸びる両手

飯田の顔に、昔の自分を見た|アニメ2期

体育祭のあと、クラスメイトの飯田の様子が変わっていました。

焦凍は、その変化を見逃しませんでした。

「やめて欲しけりゃ立て!!!」「なりてえもんちゃんと見ろ!!」

ヒーローばかりを狙うヴィラン・ステインとの戦いで、動けなくなった飯田に。――アニメ2期(通算29話)

この場面までの流れを、先に整理しておきます。

  • 飯田の兄・インゲニウムが、ステインに襲われて重い傷を負う
  • 飯田は、兄のかたきを討つために、ステインが現れた街を職場体験の行き先に選ぶ
  • ステインに追い詰められた飯田のもとへ、まず緑谷が駆けつける
  • 緑谷から位置情報だけのメッセージを受け取った焦凍も、すぐに向かう

駆けつけた焦凍に、飯田は叫びました。

兄の名を継いだのだから、自分がやらなければ、と。

焦凍は、静かに返します。

「継いだのか、おかしいな 俺が見たことあるインゲニウムは、そんな顔じゃなかったけどな」

 

なぜ焦凍は、飯田の変化に気づけたのでしょうか。

答えは、戦いながらの焦凍の心の声にあります。

「飯田、兄貴がやられてからのお前が気になった」「恨みつらみで動く人間の顔なら、よく知ってたから」

父を憎むことだけを支えにしてきた焦凍は、知っていました。

その顔をした人間には、周りが見えなくなることを。

 

戦いのさなか、飯田は動けないまま、涙を流して声をもらします。

「やめてくれ…もう、僕は…」

兄のかたきを討つことしか頭になかった自分は、もうヒーロー失格だと思ったのかもしれません。

 

その飯田に、焦凍は叫びました。

「やめて欲しけりゃ立て!!!」

はっとする飯田。

焦凍は心の中で「俺がお前に言えるひと言」と考え、もう一度叫びます。

「なりてえもんちゃんと見ろ!!」

復讐心で、目を曇らせるな。

お前が本当になりたかったヒーローを、もう一度ちゃんと見ろ。

私には、焦凍がそう言っているように聞こえました。

体育祭で緑谷にぶつかられ、焦凍が思い出したのは、母の「なりたい自分に、なっていいんだよ」という言葉でした。

焦凍は、それを自分の言い方に直して、飯田に向けています。

かつて同じ顔をしていた人の言葉だから、ここまで重く響くのだと思います。

この叫びが、飯田のヒーローとしての原点を呼び起こすきっかけになりました。

飯田は、立ち上がります。

焦凍の名言の中でも、私が特に好きな一言です。

家族の外で見せた、焦凍の天然と人間味|アニメ2〜6期

体育祭は、焦凍が自分の中のゆがみに気づいたきっかけでした。

ただ、ステインとの戦いのころも、まだピリピリした部分が残っていました。

私は、期末試験で八百万に声をかけた場面が、焦凍が大きく変わったきっかけだと思っています。

そこから焦凍のまとう空気は、少しずつやわらいでいきます。

重たい家族の話から少し離れて、クラスメイトと過ごす焦凍の姿を見てみましょう。

「俺が関わると…手がダメになるみてぇな…感じになってる…呪いか?」

ステインとの戦いのあと、病室で真剣に悩みはじめて。――アニメ2期(通算31話)

ステインとの戦いで、飯田の左腕には後遺症が残ることになりました。

手術をすれば治るかもしれない。

それでも飯田は、本物のヒーローになれるまで、このまま残しておくと話します。

憎しみにとらわれて、ヒーローらしくない行動をしてしまった自分への戒めとして。

緑谷も、自分の手を見つめて「一緒に強く…なろうね」と返します。

 

体育祭では緑谷が、ステインとの戦いでは飯田が、腕に大きなけがを負いました。

どちらも、焦凍が関わった戦いです。

二人を見ていた焦凍は、「なんか わりィ」と前置きして、「俺が関わると…手がダメになるみてぇな…感じになってる…呪いか?」。

「轟君も冗談言ったりするんだね」と笑う緑谷に、焦凍は大まじめに返しました。

「いや冗談じゃねぇ ハンドクラッシャー的存在に…」

ハンドクラッシャーって……本人、ふざけてるんじゃないの?

それが、本気なんだよね。真顔で、ピントのずれた心配をしてるの。

冷たそうに見えて、中身はすごくまじめなんだ。

「いや…ヒーローも泣く時ゃ泣くだろ…多分 …ソバ半玉やろうか?」

落ち込んで涙をこらえながら食事をする緑谷に、声をかけた場面で。――原作14巻137話/アニメ4期(通算70話)

インターン先での出来事を誰にも話せず、緑谷は一人で抱え込んでいました。

浮かない顔が続いていると気づいて声をかける焦凍に、緑谷は「そう…かな」とごまかします。

飯田が「本当にどうしようもなくなったら言ってくれ 友達だろ?」と声をかけると、緑谷の目から涙がこぼれました。

「ヒーローは泣かない」と涙をぬぐって、かつ丼を食べる緑谷。

 

うまい励ましは、焦凍の口からは出てきません。

代わりに差し出したのは、自分の大好物のそばでした。

飯田も「ビーフシチューもやろう」と続きます。

焦凍はさらに、「ネギもいるか?」「わさびいるか?」。

▼デク役・山下大輝さんが語るこの場面

緑谷を演じる山下大輝さんは、この場面について、いろいろなことを一緒に乗り越えてきたからこそ、そういう心の動きに気づいて声をかけてくれたのだと思った、と話しています。

不器用でも、焦凍は友達の涙に気づける人になっていました。

学食で味わうざるそば

「心臓……悪いんですか?」

Mt.レディに、ヒーローインタビューの受け答えを教わっていたときの返事。――アニメ5期(通算101話)

ヒーローとしての見せ方を学ぶ場で、焦凍はプロヒーローのMt.レディから、インタビューの練習を受けます。

どんなヒーローを目指しているのかと聞かれて、焦凍は答えます。

「俺が来てみんなが安心できるような…」

するとMt.レディは、こう返しました。

あなたみたいなイケメンが助けに来てくれたら、逆に心臓バクバクよ、と。

焦凍は真剣な顔で返します。

「心臓……悪いんですか?」

 

心の中で「かわいい」と叫ぶMt.レディ。

さらに、安心させたいなら笑顔を作れるといい、あなたの微笑みを見たら女性はイチコロよ、と言われると、今度はこうです。

「俺が笑うと死ぬ…!?」

イチコロって、メロメロになるって意味だよね?

そう。でも焦凍は、言葉どおりに受け取っちゃったの。

あの真顔のまま、自分の笑顔をおそろしい力だと思ったんだ。かわいすぎる。

たとえ話を、そのまま受け取ってしまう。

まじめすぎて、少しずれている。

それが、仲間の前で見せる焦凍の素顔でした。

▼思わずまねしたくなる、6期の登場シーン

デクが雄英に戻ってきた夜、お風呂上がりのA組のみんなが集まっているところへ、焦凍は濡れた髪をタオルで拭きながら現れます。――アニメ6期(通算138話)

「緑谷が一番眠いだろ 寝かせてやれよ 何のために連れ戻したよ」

その姿を見ていた峰田は、さっそく同じポーズをまねして「そのポーズって素でやってんの?」。

ハンドクラッシャーの場面では、えー、こんなこと言うんだ!とギャップに驚きました。

タオルで髪を拭きながら登場する6期の場面は、最高にかっこよかったです。

仲間と過ごすうちに、表情がやわらいでいった焦凍。

その焦凍が、テレビの前で、父に向かって叫ぶ日が来ます。

父を「ヒーロー」として見はじめる|アニメ4・5期

焦凍と父との関係は、ある日を境に一気に変わったわけではありません。

少しずつ、ほんの少しずつ、焦凍は父を見る目を変えていきます。

「親父…っ見てるぞ!!!」

No.1ヒーローになった父の戦いを、テレビの中継で見守りながら。――原作21巻190話/アニメ4期(通算88話)「始まりの」

さかのぼると、焦凍は職場体験の行き先に、父の事務所を選んでいました。

その理由は、ステインとの戦いのさなか、焦凍の心の声で語られています。

「以前のままの俺だったら、職場体験で親父の事務所を選ぶなんてことは絶対なかった」「許したわけじゃないし、許す気もない」

許すためではなく、父がNo.2と呼ばれている事実を、自分の目と体で確かめるため。

焦凍は、ヒーローとしての父を見ることから始めました。

 

やがてオールマイトが引退し、エンデヴァーはNo.1ヒーローになります。

その父が、強力なヴィランを相手に大苦戦する姿が、テレビで中継されました。

打ちのめされ、倒れる父。

 

静まり返るクラスメイトの中で、焦凍は歯を食いしばって画面を見つめていました。

そして、叫びます。

「親父…っ見てるぞ!!!」

かつては父の視線を嫌っていた焦凍が、自分が見ていると父に伝えています。

形はどうあれ、今のエンデヴァーの姿が、焦凍の心を動かしていることがわかる場面でした。

炎のアニメを見る夜のリビング

「ヒーローとしてのエンデヴァーって奴はすごかったよ だから親父として、これからどうなっていくのか見たい ちょっとしたキッカケが人を変えることもあるって、俺は知ってるから」

戦いを終えて家族のもとへ戻ってきた父に、まっすぐ。――アニメ5期(通算90話)

家族でそばを食べていたこの日、兄の夏雄は父を受け入れられず、席を立とうとします。

言いたいことがあるなら言え、と言う父に、夏雄はこう返しました。

「俺さ、焦凍がそば好きだなんて初めて知ったよ」

父が、焦凍をほかの兄弟と関わらせないようにしていたからです。

 

焦凍も、父のしてきたことを忘れたわけではありません。

焦凍は、父をヒーローとしての父と親としての父に分けて見ていました。

 

ヒーローとしては、認める。

親としては、これからを見ている。

許すとも、許さないとも言わない。

その代わりに、変わる可能性を信じると伝えています。

「キッカケが人を変えることもある」と言えるのは、焦凍自身が、緑谷とのたった一度の試合で変わった人だからでしょう。

「俺が憧れたのは、お母さんと2人で見た、テレビの中のあの人だ」

インターン先に、もう一度父の事務所を選んだ焦凍が、父に向けて。――アニメ5期(通算103話)

インターンの初日、エンデヴァーは緑谷と爆豪に、今抱えている課題を聞きました。

二人が答えたあと、焦凍も「俺もいいか?」と口を開きます。

  • 子どものころに父に叩き込まれた“個性”の使い方を、右側だけで実践してきた
  • 振り返れば、父への嫌がらせで頭がいっぱいだった
  • 雄英に入って、みんなと過ごして競う中で、目が覚めた

結局は父の思いどおりに動いている、と認めたうえで、焦凍はこう続けます。

「けど覚えとけ 俺が憧れたのは、お母さんと2人で見た、テレビの中のあの人だ」

体育祭の試合中に思い出した、あの日の記憶です。

「俺はヒーローのひよっことして、ヒーローに足る人間になるために、俺の意志でここに来た 俺がお前を利用しに来たんだ 都合よくてわりいな、ナンバー1」

親に連れてこられた子どもとしてではなく、自分で選んで来た。

最後に「友達の前でああいう親子ヅラはやめてくれ」と付け加えるところも、焦凍らしいところです。

 

父との距離が、やっと縮まりはじめた、そのとき。

轟家がずっと目をそらしてきた過去が、思いもよらない形で目の前に現れます。

兄が燈矢だと知って|崩れた家族を立たせる言葉|アニメ6期

ヒーローとヴィランの大きな戦いのさなか、ヴィラン連合の荼毘が、自分の正体を明かします。

荼毘は、幼いころに亡くなったとされていた轟家の長男・燈矢でした。

「あいつは…俺だ」

大きな戦いのあと、病室で兄・燈矢の炎を思い返しながら、心の中で。――アニメ6期(通算128話)「タルタロス」

燈矢の炎は、父よりも強いものでした。

火力では、焦凍も勝てませんでした。

「強い…憎しみの炎だった」

焦凍が感じ取ったのは、その強さだけではありません。

 

燈矢は、父をおとしめるためだけに、自分の体も、たくさんの人の人生も巻き込んできました。

父を否定することで、自分を保っていた人。

それは、体育祭のころの焦凍自身と同じでした。

緑谷と出会っていなければ、焦凍もああなっていたのかもしれません。

 

焦凍は、兄を止めるのは自分しかいないと考えます。

「親父じゃやれねえ 燈矢兄は、俺がやらなきゃ」

けれどそれは、すべてを一人で背負おうとする考え方でもありました。

青い魔炎を操る手

「泣き終わったら立てよ みんなで燈矢兄を止めに行こう」

息子の正体を知り、立ち上がれなくなっていた父のもとを訪ねて。――アニメ6期(通算130話)

荼毘の告白によって、エンデヴァーが家族にしてきたことは世の中に知れわたりました。

No.1ヒーローとしての信頼も、父としての自信も失い、エンデヴァーは病室で泣いていました。

 

その前に、焦凍が来ます。

「ここに来る前、お母さんと話した」「お前が、もう戦えねえと思って」「俺がやるしかねえって思ってた」

父の代わりに、自分一人で兄を止める。

焦凍はそう決めていました。

けれど母と話して、焦凍の考えは変わります。

「でも違うみてえだ」

 

焦凍は、泣いている父を責めませんでした。

泣くなとも言いませんでした。

泣き終わったら、立てばいい。

一人ではなく、みんなで行こう。

家族をばらばらにした父を、焦凍は置いていきませんでした。

 

この場面には、視聴者から「焦凍が轟一家を変えたんだよな」「轟くんは轟一家のヒーロー」という声が寄せられています。

▼この章のその他の名言

「なんだよ、そのツラ 責任が、涙を許さねえか その責任、俺達にも分けてくれよ」(アニメ6期・通算136話)

一人で戦い続けてボロボロになった緑谷を、A組のみんなで連れ戻そうとする場面で。
一人で背負わなくていいと、焦凍は緑谷にも伝えています。

そして7期、焦凍は兄・燈矢と向き合います。

「俺の力だ」あの家に生まれた意味|アニメ7期

7期、焦凍はついに、兄・燈矢の前に立ちます。

父のためでも、誰かに言われたからでもなく。

「緑谷、俺の力だ。ありがとな」

兄との戦いで、新しい技を生み出した瞬間に。――原作36巻352話/アニメ7期(通算146話)「二つの赫灼」

燈矢の青い炎は、焦凍の炎よりもずっと強いものでした。

炎だけで張り合っても、勝てない。

そこで焦凍がたどり着いたのが、炎の中に冷たさを抱えた、新しい力でした。

 

その力の意味を、焦凍はこう語ります。

「おやじは体の熱を下げるために“冷”を望んだ、俺は逆を行く」「あの家に俺が生まれた意味を、俺自身が肯定できるように」

父が母の“冷”を望んだのは、自分の炎の熱を冷ますためでした。

焦凍はその逆に、炎の中に冷たさを抱えた力で、自分が生まれた意味を自分で決めようとしていました。


体育祭の、あの試合を覚えているでしょうか。

緑谷は焦凍に、「君の、力じゃないか!!」と叫びました。

あのとき焦凍は、その叫びに背中を押されて、炎を出すことしかできませんでした。

試合のあとも、炎を使っていいのか、まだ迷っていました。

ただ、炎を見て笑う緑谷に「緑谷…ありがとな。」とだけは返していました。

 

それから長い時間がたって、兄と向き合う戦いの中で、焦凍はようやく、あの叫びへの答えを返します。

俺の力だ。

ありがとな。

この場面には、視聴者から「体育祭での返しの台詞になってるのか」「いい顔で笑うようになって」という声が上がりました。

▼声優・梶裕貴さんが語るこの場面

焦凍を演じる梶裕貴さんも、「俺の力だ。ありがとな」について「台詞、大好きです」とコメントしています。

あの体育祭の「君の力じゃないか」がここにつながるなんて、と胸が熱くなりました。

緑谷への最大級の感謝が詰まっていて、涙が出ました。

呪縛だった“個性”を、完全に自分のものとして認められた焦凍が、本当にかっこよかったです。

演出も神がかっていて、最高の場面でした。

「交わるよ 無理にでも だから 止まってくれ」

新しい技を放ちながら、燃え続ける兄に。――原作36巻352話/アニメ7期(通算146話)

焦凍は、兄を倒すために戦っていたわけではありません。

止めるために、戦っていました。

「これ以上は平行線だ」と言う兄に、焦凍は「交わるよ」と返します。

どれだけ離れてしまっていても、無理にでも、兄と気持ちを通わせる。

焦凍が家族にかけた中で、いちばん強い呼びかけだったのかもしれません。

▼157話、飯田から返ってきた言葉

戦いは、ここでは終わりませんでした。

燈矢の体の熱が上がり続け、焦凍はもう一度、燈矢のもとへ向かいます。――アニメ7期(通算157話)「I AM HERE」

限界を超えた速さで焦凍を送り届けたのは、飯田でした。

「轟君! 君のおかげで俺は、なりたいものになれたように思う! だから! 君もなってこい!」

ステインとの戦いで、焦凍が飯田に叫んだ「なりてえもんちゃんと見ろ!!」。

それが、飯田から焦凍へ返ってきていました。

燈矢のもとへ向かう焦凍の心には、母に書いた手紙の一節が流れます。

「俺の友達は自分のためだけじゃなく 人のために怒ったり泣いたりします 俺もそうなりたいです」

燈矢のもとでは、父と母、姉の冬美、兄の夏雄が、燈矢の熱を冷まそうとしていました。

そこへ駆けつけた焦凍は、すべてを凍らせる大技・大氷海嘯で、燈矢を止めます。

▼157話のアフレコ

この回のアフレコは、轟家の声優全員がそろって行われたそうです。

力を出しきった焦凍は、こうもらします。

「みんな…いたのか…」「そうか…よかあねえけど、よかった…」

6期で「みんなで燈矢兄を止めに行こう」と父に声をかけた焦凍。

燈矢を止めたそのとき、そばには本当に家族みんながいました。

夕焼けに染まる荒廃した岩場

「おんなじだ」兄と同じ好物|アニメ FINAL SEASON

長い戦いが終わり、轟家の家族は、そろって燈矢に会いに行きます。

一日に話せるのは、ほんの数分だけ。

その短い時間で、焦凍が兄に聞いたのは、意外なことでした。

「おんなじだ!」

兄の燈矢に好きな食べ物をたずね、答えを聞いて。――アニメ FINAL SEASON(通算168話)

面会の場で、父は燈矢に、ヒーローを引退すると伝えます。

そして、これから毎日来る、話をしよう、と。

母も冬美も、話したいことがたくさんあると続きます。

 

燈矢の体の負担が大きく、今日はここまでにするよう言われたとき。

焦凍は「最後にひとついいですか」と頼み、燈矢にこう聞きました。

「聞きたかったことがあるんだ 燈矢兄 好きな食べ物何?」

泣いている燈矢から、すぐに答えは返ってきません。

家族が帰ろうとしたとき、燈矢が小さく答えました。

「…そば」

焦凍は振り向いて、「おんなじだ!」。

焦凍が何を言うのかと思ったら、好きな食べ物だったんだね。

うん。

5期で夏雄も「焦凍がそば好きだなんて初めて知った」って言ってたよね。

兄弟なのに、お互いの好きなものも知らずにきたんだよね。

落ち込む緑谷にそばを差し出した焦凍の好物は、兄の好物でもありました。

燈矢は、7期の戦いで焦凍が言った「交わるよ 無理にでも」を思い出して涙を流し、心の中で「焦凍…ごめんな」と謝ります。

「おなじだ」じゃなくて「おんなじだ」なのがいいんです。

なんだか末っ子感があって。

A組のみんなと出会って、話すことの大切さを学んだ焦凍。

その焦凍が無理にでも交わろうとしてくれたから、やっと手にできた対話の機会なんですよね。

そこで初めて見つけたお互いの交わりが“そば”だったのが、めちゃくちゃ尊い。

限られた時間ではあるけれど、これからもっとたくさんの交わりを見つけていけるんだろうなと思える最後で、この家族の終着点として、あまりに良すぎました。

見ているこちらも、涙が出ました。

「俺は、自分でなりてえようになれるから」

施設を出たあと、兄の夏雄の車に乗る前に、振り返って父と母に。――アニメ FINAL SEASON(通算168話)

施設を出たあと、夏雄は、自分はここまでだと父に告げます。

そのうえで、学校に戻る焦凍を、車で送っていくと声をかけました。

車に乗ろうとした焦凍は、振り返って父と母にこう言います。

「おやじ、お母さん。俺にはA組のみんながいるから大丈夫だよ 俺は、自分でなりてえようになれるから」

そう言って、焦凍は両親に笑ってみせました。

本当に素敵な言葉だと思いました。

焦凍にとって、緑谷やA組との出会いがどれだけ大きかったかが伝わってきます。

お母さんの「なりたい自分に、なっていいんだよ」があって、「なりてえもんちゃんと見ろ」から始まって、飯田から「なりたいものになれたように思う」と返ってきて。

最後に自分の言葉で「なりてえようになれる」とちゃんと言えているのが、涙が出るくらい感動しましたし、成長を感じました。

「大丈夫だよ」と言ったあと、両親に微笑んでみせる焦凍に、あー、良かったなあって思いました。

この家族は、解決はしたけれど、きれいなハッピーエンドではありません。

失ったものは多いけれど、それを踏まえて前に進むところが、ヒロアカらしくて好きです。

轟焦凍の名言が今も刺さる理由

クールに見えて、家族のことになると誰よりも不器用な焦凍。

その名言が心に残るのはなぜなのか。

理由を3つにまとめました。

笑えなかった少年が、笑えるようになっていくから

体育祭のころの焦凍は、ほとんど表情を変えませんでした。

5期では、笑顔を作るといいと言われて、とんでもない受け取り方をするほどです。

それが7期の「俺の力だ」の場面では、視聴者から「いい顔で笑うようになって」という声が上がりました。

そして最終章では、両親に「大丈夫だよ」と伝えて、微笑んでみせます。

口にすることと一緒に、表情まで変わっていく。

その変化を見届けられることが、焦凍の物語のいちばんの喜びだと思います。

迷いながら、自分で答えを出してきたから

体育祭のあと、焦凍は父に「少し…考える」と答えました。

炎を使ったからといって、すぐに父を許したわけでも、自分の力を受け入れたわけでもありません。

母に会いに行き、父の背中を見つめ、兄と向き合う。

迷って、遠回りして、それでも自分の答えを出してきた人の言葉だから、重みがあるのです。

まじめさが、天然にも、優しさにもなるから

ハンドクラッシャーも、「心臓……悪いんですか?」も、焦凍は大まじめでした。

友達の涙に気づいてそばを差し出すのも、泣いている父のもとへ行くのも、同じまじめさから出てきたものです。

思わず笑ってしまうところと、泣けてしまうところが、同じ一人の人の中にある。

そのギャップが、焦凍の名言をいっそう忘れられないものにしています。

 

<焦凍と燈矢の兄弟の戦いは、原作の36巻で読むことができます。>

僕のヒーローアカデミア 36
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まとめ:ヒロアカ・轟焦凍の名言が教えてくれること

焦凍の名言を並べてみると、言葉の向かう先が少しずつ変わっていくのがわかります。

はじめの言葉は、父を否定するためのものでした。

それが、母に会いに行き、飯田に叫び、父を見つめ直し、兄や家族と向き合ううちに、目の前の誰かを立ち上がらせるための言葉になっていきました。

焦凍は、二度「立て」と言っています。

一度目は、復讐に飲み込まれかけた飯田に。

二度目は、立ち上がれなくなっていた父に。

生まれた家も、受け継いだ力も、自分では選べません。

けれど、その力を何のために使うかは、自分で決められる。

「俺の力だ」と言えた焦凍は、そのことを教えてくれます。

冷たそうに見えて、まじめで、ときどき天然で、家族のことになると誰よりもまっすぐ。

そんな焦凍だから、私はずっと見守りたくなるのだと思います。

 

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