「もう大丈夫!何故って⁉ 私が来た‼」
この一言を聞くだけで、なぜこんなに安心できるのでしょうか。
いつも笑顔のNo.1ヒーロー、オールマイト。
けれど物語を最後まで見ると、その笑顔の意味が少しずつ変わっていきます。
この記事では、『僕のヒーローアカデミア』のオールマイトの名言を、アニメ1話から最終話まで、話数とあわせて紹介します。
有名な「君はヒーローになれる」や「次は 君だ」はもちろん、力を失ってからの葛藤の言葉、最後の戦いの言葉まで、場面と一緒にたどっていきます。
※最終話までの内容に触れています。

ヒロアカ・オールマイトの名言 早見表
まずは、この記事で紹介するオールマイトの代表的な名言を、アニメの放送順に並べました。
▼1期
- もう大丈夫!何故って⁉ 私が来た‼
- 君はヒーローになれる
- これは君自身が勝ち取った力だ
- 更に向こうへ! Plus Ultra!
▼2期
- 余計なお世話ってのは…ヒーローの本質でもある
- 悔しいが私も人だ
▼3期
- 守るものが多いんだよ、オール・フォー・ワン‼
- 次は 君だ
- この命に代えても、守り育てます!
▼6期〜最終章
- 私だけが、ヒーローから遠ざかり続けている
- 私は過去一度たりとも、負ける気で戦ったことはない!
- なあ…勝とうぜ、緑谷少年!
- これも君自身が勝ち取った力だ!
オールマイト(八木俊典)のプロフィール
- ヒーロー名:オールマイト
- 本名:八木俊典(やぎ としのり)
- 誕生日:6月10日
- 身長:220cm
- 個性:ワン・フォー・オール(8代目の継承者)
- 呼び名:平和の象徴
- 声優:三宅健太さん
ワン・フォー・オールは、代々の継承者たちの力を蓄積しながら、次の人へと受け継がれてきた個性です。
オールマイトは雄英高校の教師としてデクを支えながら、宿敵オール・フォー・ワンとの戦いで力を使い果たし、ヒーローを引退しました。
引退したあとも、教師としてデクたちを導き続けます。
いつも笑顔を絶やさないNo.1ヒーロー。

けれどその笑顔には、本人だけが知っている理由がありました。
「私が来た」の笑顔に隠していたもの|アニメ1期
誰よりも明るく笑うNo.1ヒーローの、その笑顔の裏側が見えてくるのが1期です。
「もう大丈夫!何故って⁉ 私が来た‼」
オールマイトといえば、まずこの言葉です。
困っている人のところへ、笑顔で現れる。
その一言だけで、周りの空気が変わります。
人々にとってオールマイトは、来てくれたらもう大丈夫と思える存在でした。
初めて見たとき、私が思ったのは「目、黒っ!」でした。
ひとりだけ画風がちがう、アメコミのような顔立ち。
白目の部分まで黒く塗られた目は、強さのかたまりのように見えました。
この黒い目には、あとで大きな意味があったのかもしれない。
今になって、私はそう思っています(その話は、最後の戦いの章で書きます)。
「私が笑うのは、ヒーローの重圧 そして、内に湧く恐怖から己を欺くためさ」
大きな体が、煙とともにしぼんでいく。
現れたのは、やせ細った一人の男性でした。
5年前、宿敵オール・フォー・ワンとの戦いで負った大きな傷。
呼吸器官は半分こわれ、胃はすべて取ってしまった。
ヒーローとして動けるのは、今では1日に約3時間ほど。
そのことを世間には隠していると打ち明けたうえで、オールマイトはこう続けます。
「人々を笑顔で救い出す平和の象徴は、決して悪に屈してはいけないんだ 私が笑うのは、ヒーローの重圧 そして、内に湧く恐怖から己を欺くためさ」

オールマイトって、怖いものなしだから笑ってるんだと思ってた。

私も。1話の「私が来た」も、余裕の笑顔だと思ってたよ。

じゃあ、あの笑顔は……自分に言い聞かせてたってこと?
あの笑顔は余裕ではなく、怖さに負けないためのものでした。
1話で見たまぶしい笑顔が、ここで少しちがって見えてきます。

「君はヒーローになれる」
この言葉を聞くまで、デクはずっと一人で夢を追いかけてきました。
個性がないから、ヒーローにはなれない。
周りからもそう思われ、屋上ではオールマイト本人にまで「“個性”がなくとも成り立つとは、とてもじゃないが口に出来ないね」と言われたばかりでした。
それでも、爆豪が捕まっているのを見た瞬間、デクの体は動いていました。
その姿を見たオールマイトは、デクを追いかけてきて語りかけます。
「トップヒーローは学生時から逸話を残している」「彼等の多くが話をこう結ぶ、“考えるより先に体が動いていた”と」「君も、そうだったんだろ?」
「君はヒーローになれる」
私はこの場面を、すっかり親の目線で見ていました。
無個性だと泣くデクを見ているのが、ずっと苦しかったからです。
ほかの誰でもない憧れの人に「なれる」と言ってもらえたことが、デクの人生を動かしました。
「考えるより先に体が動いていた」という言葉は、物語のいちばん最後に、形を変えてもう一度出てきます。
<デクがこの言葉を胸に、どんなヒーローになっていったのかは、デクの名言の記事で紹介しています。>

「これは君自身が勝ち取った力だ」
「これは受け売りだが 最初から運良く授かった者と 認められ譲渡された者では その本質が違う! 肝に銘じておきな これは君自身が勝ち取った力だ」
力を譲るのはオールマイトなのに、オールマイトは「君が勝ち取った」と言いました。
与えたのではなく、デクが自分の力でつかみ取ったのだ、という言い方です。
そう言いながら手に持っているのは、なんと自分の髪の毛。
かっこいい言葉と、思わず笑ってしまう絵の組み合わせも、オールマイトらしいところです。
最終話を見たあと、この言葉が胸にずしりと響くようになりました。
「まったく己に腹が立つ…‼」
「(まったく己に腹が立つ…‼ 子どもらがどれだけ怖かったか… 後輩らがどれだけ頑張ったか…‼ しかし……‼ だからこそ胸を張って言わねばならんのだ‼)」
「もう大丈夫‼ 私が来た‼」
このときのオールマイトは、笑っていませんでした。
怒った顔でネクタイを引きちぎり、扉の前に立ちます。
ああ、これがヒーローなんだと感じました。
腹を立てていたのは、ヴィランにだけではありません。
駆けつけるのが遅れた、自分自身にもでした。
自分を責めながらも、子どもたちを安心させるために「大丈夫」と言い切る。
▼この章のその他の名言
「プロはいつだって…命懸け!」(アニメ1期・通算2話)
飛び出したデクを見て、「君に諭しておいて、己が実践しないなんて!」と自分を奮い立たせたひと言。
限界の体で放ったスマッシュの風で、空から雨が降ってきます。
雨まで含めて、たまらなくかっこいい場面です。
「勝ったにせよ負けたにせよ 振り返ってこそ経験ってのは活きるんだ」(アニメ1期・通算8話)
初めての戦闘訓練でデクに負け、立ちつくす爆豪にかけた言葉です。
「なぜなら私は…平和の象徴なのだから!」(アニメ1期・通算12話・心の声)
残り時間はもう1分もない。
力の衰えも思っていたより早い。
それでも生徒たちに「プロの本気を見ていなさい」と言ったあとの、心の中の言葉です。
「更に向こうへ! Plus Ultra!」(アニメ1期・通算12話)
オールマイト対策として作られた脳無を、さらに上の力でねじ伏せた一撃です。
「そんなことはないさ あの数秒がなければ、私はやられていた また、助けられちゃったな」(アニメ1期・通算13話)
「何もできなかった」と落ち込むデクへの言葉。
動いたこと自体が、もう誰かの助けになっている。
救う側のオールマイトが、教え子に「助けられた」と言う。
この記事の最後につながる、小さな一言です。

教え子に重ねた、ヒーローとしての自分|アニメ2期
雄英体育祭から始まる2期では、デクにかける言葉のなかに、オールマイト自身の生き方がにじみ出てきます。
「怖い時、不安な時こそ…笑っちまって臨むんだ!」
「君の目指すヒーロー像は、そんなはかなげ顔か? いいかい 怖い時、不安な時こそ…笑っちまって臨むんだ!」
オールマイトは、こう続けます。
「ここまで来たんだ 虚勢だけでもいい 胸は張っとけ 私が見込んだってこと、忘れるな」
2話の屋上で、オールマイトは「笑うのは恐怖から己を欺くため」と打ち明けていました。
その笑い方を、今度はデクに教えています。
オールマイトは、このときも笑っているんだなと思いました。
今までもこうやって頑張ってきたんだな、と。
虚勢でもいいと言い切れるのは、本人がずっとそうやって立ってきたからです。
No.1ヒーローにこう言ってもらえると、見ているこちらまで安心できます。
「余計なお世話ってのは…ヒーローの本質でもある」
体育祭の前、オールマイトはデクに「君が来たってことを、世の中に知らしめてほしい」と期待をかけていました。
その期待にこたえられなかったデクは、「すいません 果たせなかった」と謝ります。
苦しそうな轟を見て、余計なお世話を考えてしまった。
でもそれ以上に、ただ悔しかった。
そう打ち明けるデクに、オールマイトが返したのは叱る言葉ではありませんでした。
「確かに、残念な結果だ バカをしたと言われても仕方のない結果だ でもな、余計なお世話ってのは…ヒーローの本質でもある」
困っている人を放っておけない「余計なお世話」こそ、デクを動かしてきたものです。
人の役に立とうとすることが、ヒーローなんだと思いました。
オールマイト自身も、これまで数えきれないほどの「余計なお世話」をしてきたのだと思います。
自分にも覚えがあるから、責めずにこう言えたのではないでしょうか。
「悔しいが私も人だ」
「オールマイトも、助けられなかったことはあるんですか?」
デクの問いに、オールマイトは迷わず答えます。
「あるよ、たくさん 今でもこの世界のどこかで、誰かが傷つき倒れてるかもしれない 悔しいが私も人だ 手の届かない場所の人間は救えないさ」
No.1ヒーローの口から出たのは、「たくさん」という言葉でした。
その一言が、静かに胸に残りました。
オールマイトの言葉には、続きがあります。
「だからこそ、笑って立つ 正義の象徴が人々の…ヒーロー達の…悪人達の心を常に灯せるようにね」
すべては救えないと知りながら、それでも笑って立つ。
2話では自分の怖さを隠すためだった笑顔が、ここでは人々の心を灯すための笑顔になっています。
▼この章のその他の名言
「常にトップを狙う者とそうでない者…そのわずかな気持ちの差は社会に出てから大きく響くぞ」(アニメ2期・通算15話)
体育祭を前に、後ろ向きになっていたデクへの言葉です。
騎馬戦では、ハチマキを取り返してもなお1位をねらい続ける爆豪を見て、「爆豪少年、君は言われずとも非常によく分かっているんだろう」とつぶやきました(アニメ2期・通算18話)。

人々の心を灯すために笑い続けてきたオールマイト。
その「平和の象徴」としての最後の戦いが、3期でやってきます。
平和の象徴から、ひとりの師へ|アニメ3期
爆豪がヴィラン連合にさらわれ、オールマイトはついに宿敵と向き合います。
「守るものが多いんだよ、オール・フォー・ワン‼」
近くにいる爆豪を巻き込まないよう、オールマイトは全力を出せずにいました。
体に残っていた力の残り火も、少しずつ尽きていきます。
ついに大きな体を保てなくなり、やせた本当の姿が、中継を見ている人々の前にさらされてしまいました。
背後のがれきの下からは、助けを求める声が聞こえます。
ヒーローは守るものが多くて大変だと、あざ笑うオール・フォー・ワンに、オールマイトは言い返しました。
「ああ…!多いよ…!ヒーローは… 守るものが多いんだよ、オール・フォー・ワン‼ だから 負けないんだよ」
限界のなかで思い出したのは、師匠・志村菜奈の言葉でした。
「俊典、限界だーって感じたら思い出せ 何の為に拳を握るのか 原点…オリジンってやつさ!」
守るものの多さは、弱点ではありませんでした。何度でも立ち上がる理由でした。
「次は 君だ」
最後の力を振りしぼった一撃で、オールマイトは宿敵を倒しました。
この一撃で、体に残っていた力の残り火も消えています。
そして、カメラに向かってまっすぐ指をさしました。
「次は 君だ」

あれって、ヴィランに向けた宣戦布告でしょ?

作中で中継を見ていた人たちは、そう受け取ってたね。
どんなにボロボロでも折れない、平和の象徴の姿として。

じゃあ、デクに言ったわけか。

そう。
私たちは、オールマイトがもう力をデクに譲っていて、その残り火もこの戦いで消えたって知ってるからね。
あの「次は君だ」は、デクへの言葉なんだと思う。
平和の象徴としての最後の言葉は、次の世代へ託すひと言でした。
「この命に代えても、守り育てます!」
オールマイトは、デクを浜辺に呼び出していました。
浜辺でオールマイトが「遅かったじゃないか〜」と走ってきて、デクも「オールマイト〜」と走っていく。
ハグするのかと思ったら、まさかの「スマッシュ」。
この落差に、まず笑っちゃいました。
そのあと、オールマイトはデクに説教します。
何度言われても飛び出していくし、何度言っても体を壊し続ける、と。
本当に本当に心配していたんだと思います。
そして叱っているのかと思ったら、ケガをしていない方の片手でデクを抱きしめて、今度は「嬉しい」と言うんです。
デクがいちばんほしかった言葉を、ちゃんとくれる。
「頑張ろうな」と言われて、デクが目にいっぱい涙をためたところで、私はもう号泣でした。
そこへ「君は本当に言われたことを守らないよ…その泣き虫直さないとって言ったろ」と、優しい声。
もう涙が止まりませんでした。
年を取ると涙もろくなるって、本当ですね。
そして後日、オールマイトはデクの家を訪ねます。
お母さんは、雄英に息子を預けられないと告げます。
ヴィランに襲われ、生徒の大ケガも止められない学校には通わせたくない、と。
けれどデクは、林間合宿で助けた男の子からの手紙を見せて、「僕はヒーローになる」と言い切りました。
その姿を見て、オールマイトは心の中でこうつぶやきます。
「(君はもう…君はもう、ただ私の背を追うだけの人間ではない ならば師である私は支えなきゃ 君の歩みを行く道を)」
オールマイトは床に手をつき、頭を下げました。
「出久少年に、私の全てを注がせてはもらえないでしょうか この命に代えても、守り育てます!」
お母さんの答えは、こうでした。
「命に代えないでちゃんと生きて、守り育てて下さい」
「約束 します」
命を差し出すことで守ってきた人が、ここで初めて「生きて守る」と約束しました。

「すまない、君も少年なのに」
「あんたをそんな姿に」
オールマイトの力が尽きたのは、さらわれた自分のせいだ。
爆豪は誰にも言えないまま、そう思い続けていました。
「これは君のせいじゃない どのみち限界はちかかった こうなることは決まっていたよ 君は強い ただね、その強さに私がかまけていた 抱え込ませてしまった」
オールマイトは爆豪を抱き寄せます。
「すまない、君も少年なのに」
爆豪は、その腕を振りほどきました。
強い子ほど、ひとりで抱え込んでしまう。オールマイトはそれを、自分の見落としとして謝りました。
このあとオールマイトは、二人に向けてこう語りかけます。
「“助けて勝つ”“勝って助ける” 最高のヒーローになれるんだ」
▼この章のその他の名言
「教え子すら助けられず何が平和の象徴か… 何がヒーローか…」(アニメ3期・通算45話)
爆豪がさらわれたあと、廊下でひとりになったときのつぶやきです。
「“気ぃつけろ”か… 分かったつもりではいたが、皆の意識下では、私はもう“守られる側”か…」(アニメ3期・通算53話)
必殺技の訓練中、崩れてきたがれきからデクに守られ、爆豪に「気ぃつけろや」と言われたあとで。
守る側から守られる側へ。
引退したことを、あらためて実感する場面です。
力を失い、守られる側になったオールマイト。
本当の葛藤は、ここから始まります。
力を失ってから見えたもの|アニメ4〜6期
力を失ったオールマイトは、生きることを選びます。
けれどそれは、戦うことよりも苦しい道でした。
「運命などこの腕で、好きな形にねじ曲げてやるさ!」
オールマイトには、かつての相棒サー・ナイトアイから告げられた未来がありました。
「このままいけば あなたはヴィランと対峙し いいあらわせようのないほど 凄惨な死をむかえる」
その予知を知ったデクは、オールマイトに「生きて見ててよ」と願います。
ナイトアイについて「正直、合わせる顔がない」とこぼしていたオールマイトは、こう答えました。
「神野でオール・フォー・ワンと戦った時、ここがゴールなんだと思ったんだ・・・。でも、君がいた」
小心者で無個性だった少年が、自分に応えてくれる日々。
その日々が「生きろ」と囁いてくれたのだと、オールマイトは言います。
「今更足掻くよ! 君が変えてくれた!! 私は生きる!」
「運命などこの腕で好きな形にねじ曲げてやるさ!!」
ここが死に場所だと思っていた人を生きる側へ引き戻したのは、デクとの日々と、お母さんとの約束でした。
ここも、胸が熱くなる場面です。

「無力感がね、沸々と湧いてくるんだ」
「生きると…決めたんだ」
ため息をついたオールマイトは、そう切り出します。
「でもね、なんて言うんだろう… こう…無力感がね、沸々と湧いてくるんだ 生徒が成長するたびに 何もしてあげられない歯がゆさに苛まれる」
相澤先生の返事は、いつもどおり淡々としていました。
「ワーカホリックが治ってないんです」
そのうえで、こう続けます。
「してあげられてますよ 生きてここにいる それだけで背中を押される人間がたくさんいます」
「あなたは堂々とふんぞり返っててください 変わらずに」
オールマイトの存在をまっすぐ肯定するこの言葉に、私も泣きそうになりました。

相澤先生って、オールマイトにもそっけないよね。

普段はね。
合理主義で、ぼそぼそしゃべるし。
でも、すごく人を見てるし、話をちゃんと聞いてくれる人なんだよ。

その人が「生きてここにいるだけで」って言うの、ずるいなあ……。
何もできなくなった自分を責めるオールマイトに、相澤先生は「いるだけでいい」と言い切りました。
「私だけが、ヒーローから遠ざかり続けている」
ヒーローへの信頼が揺らいでいた頃のことです。
オールマイトの像には「I AM NOT THERE」という落書きと、大きな×印がつけられていました。
その前で、オールマイトは心の中で自分を責めます。
「(お前は弟子がつらい時何もしてやれなかった)」
立ち去ろうとしたそのとき、かつてヒーローたちを襲った敵・ステインが現れました。
「お前はオールマイトじゃない!偽物め!」
剣先を向けられたオールマイトは、静かに語り始めます。
理不尽に奪い、奪われる日常が許せなかったこと。無力でも、動かずにはいられなかったこと。
「世界をよくしたかった そして走り終えた…その結果がこうだ」
「命に替えても守らねばならない弟子に “休め”のひと言すらかけられなかった なんなんだろうな 私だけが、ヒーローから遠ざかり続けている」
あのオールマイトが、ここまで落ち込むなんて。
ステインは、像のほうを見ろと言いました。
一人の女性が、落書きの×印を外し、像を拭いています。
「オールマイトが最後に救った女だ!」
オールマイトは、はっと顔を上げました。
「オールマイトはいかなる時も、笑ってその身を人々に捧げた! それは“個性(ちから)”によるものではない! オールマイトという人間が そのようにしか生きられぬのだ!」
「“結果”だと? これは“過程”だ!」
救った命は、終わった「結果」ではありませんでした。今も誰かの中で続いている「過程」だったのです。
忘れかけていたヒーローとしての自分を、敵であるはずのステインが呼び覚ましました。
像を拭きながら、女性は小さくつぶやいています。
「がんばろ がんばれ」
オールマイトの目から、涙がこぼれました。
かつての「私が来た」に、今度は救われた人が応えていました。

そしてオールマイトは、もう一度宿敵の前に立ちます。
今度は、何の力も持たないままで。
与えられてきたもので戦う|アニメ7期・FINAL SEASON
無個性になったオールマイトは、もう一度オール・フォー・ワンの前に立ちます。
「私は過去一度たりとも、負ける気で戦ったことはない!」
「君の予知がまだいきてるとしたら 間違いなく ここだ」
ナイトアイが予知した場所は、ここだとわかっていました。
それでもオールマイトは、いつもの言葉で現れます。
「私が来た!」
師匠の「笑ってる奴が一番強い」を思い出し、アーマーを身につけました。
「ツラは見せないとな アーマード・オールマイト!」
無個性の人間が、勝てるはずがない。
見守る塚内さんも、そう思っていました。
オール・フォー・ワンは「何を笑っている!」といらだちます。
オールマイトは、こう言い返しました。
身につけたスーツは、かつてオール・フォー・ワンに敗れてアメリカへ渡ったとき、その地で出会った友人に設計を頼んだもの。
「私が与えられてきたもの全てをぶつける! 長い付き合いだ わかるだろう親友 私は過去一度たりとも、負ける気で戦ったことはない!」
奪ってきたもので戦うオール・フォー・ワンと、与えられてきたもので戦うオールマイト。
「私は過去一度たりとも、負ける気で戦ったことはない!」
ここ、私は大好きです。
本当にかっこいいと思いました。
オールマイトは超パワーもかっこいいけれど、この圧倒的に華やかなかっこよさと、まっすぐで澄みきった心。
やっぱり永遠のNo.1だなと思います。
オール・フォー・ワンが、今まで人から奪ってきたもので戦うのに対して、オールマイトは今まで人から与えられてきたもので戦う。
その対になっているところも、たまらなく好きです。
「なあ…勝とうぜ、緑谷少年!」
オールマイトの体は、もう限界をこえていました。
それでも心に浮かんだのは、デクと、A組の生徒たちの顔です。
「人の役に立てて嬉しい。頑張れ…頑張ろう! A組よ、私に力を貸してくれ!」
アーマーの技は、A組の生徒たちの個性をもとにして作られていました。
教え子たちの力を借りて、オールマイトは立ち上がります。
「なあ…勝とうぜ、緑谷少年!」
ひとりで背負ってきたヒーローが、ここでは教え子たちと一緒に戦っていました。
教え子たちから、また学んでいる。そんなオールマイトが好きです。

「人は明滅するのだ 私もまた、瞬けるのだ」
アーマーは壊され、オール・フォー・ワンには笑顔が消えたとあざ笑われます。
「法灯は消える」
けれど、オールマイトは言い返しました。
「分かっちゃいないな? 親友!」
「人は明滅するのだ 私の灯が消えようとも、私の灯を受けた誰かが照らす そうして暗がりは照らされ…私もまた、瞬けるのだ 負ける気がしないぜ、オール・フォー・ワン!」
▼私の考察|オールマイトの目が、黒から白に変わった理由
1話で「目、黒っ!」と思ったオールマイトの目。
アーマード・オールマイトとして宿敵の前に立ったときも、白目の部分はまだ黒いままでした。
それがこの回で、初めて片方の目が白く変わります。
そして戦いが進むと、はっきりと両目が白く描かれるようになりました。
社会を立て直すために、オールマイトはずっと「平和の象徴」を演じ続けてきました。
2話で打ち明けたように、怖さを笑顔で隠しながら。
この回でオールマイトは、「平和の象徴」ではなく、ひとりの人間「八木俊典」として戦場に立ったのだと思います。
回のタイトル「八木俊典:ライジングオリジン」は、そのことを表しているのではないでしょうか。
1話で気になった黒い目は、ここにつながっていたのかもしれません。
「それが、とても大事なものに見えただけだ」
小さなオールマイトが、お母さんの隣で絵本を開き、『アンパンマンのマーチ』を歌っています。
「思い返せば誰もが通る道にあったものだ オリジンと呼ぶには あまりにも柔らかな記憶 私がしたことといえば ふとその道を振り返っただけだ」
道に落ちていた光を拾い上げて、オールマイトはつぶやきます。
「それが、とても大事なものに見えただけだ」
平和の象徴の始まりは、特別な才能ではありませんでした。誰もが通る道に落ちていた、小さな光。
アンパンマンには、こんなセリフがあります。
「ぼく、胸の中がほかほかしてるよ。人を助けるってこんなに胸があったかくなるものなの?」
「僕はそんなに強くないよ。ただみんなが応援してくれるから、頑張れるだけなんだ」
人を助けることを喜び、応援に支えられて立つ。
159話の「人の役に立てて嬉しい」や、138話の「がんばれ がんばれ」と重なって見えて、胸が熱くなりました。
<アンパンマンや ばいきんまん、作者のやなせたかしさんの名言は、こちらの記事で紹介しています。>

▼この章のその他の名言
「燈矢を止めて、みんなを安心させてくれ 君が君であるために」(アニメ7期・通算157話)
最終決戦を前に、轟と飯田を送り出すときの言葉です。
「悩んで迷って…そんな少年が心に決めた思いこそ、何より尊い」とも語りかけました。
「こんなものしか 与えてやれないが」(アニメ FINAL SEASON・通算162話)
復活した爆豪に、オールマイトが自分のアーマーを託す場面。
受け取った爆豪は、ニッコリと笑いました。
「最高のヒーロー」と呼んだ教え子たち|アニメ FINAL SEASON
長い戦いが終わり、オールマイトは生きて、教え子たちのもとへ戻ってきました。
「あの日からずっと、君は…私の最高のヒーローだったよ」
「緑谷少年。あの日君が駆け出したから、私も体が動いたんだ」
無個性のデクが、捕まった爆豪を救けようと飛び出した日。
その姿を見て、動けずにいたオールマイトも、もう一度駆け出しました。
そしてあの日、オールマイトはデクに「考えるより先に体が動いていた」と語りかけていました。
「あの日からずっと、君は…私の最高のヒーローだったよ」

オールマイトのほうが、デクのヒーローじゃなかったの?

そう思うよね。
でも、あの日デクが駆け出したから、オールマイトも体が動いたんだって。

……じゃあ二人は、お互いのヒーローだったんだ。
デクを救ったオールマイトは、最初の日からずっと、デクに救われていたのです。
この言葉は、爆豪にも向けられます。
力を使い果たし、無個性に戻ったデク。
それを知って泣き出した爆豪と、デクが並ぶ病室で、オールマイトは二人に言いました。
「あの日駆け出した緑谷少年は、私にとって最高のヒーローだった だが、今は皆を奮い立たせる、皆にとっても最高のヒーローだ そして、これを伝えるいとまを私にくれた爆豪少年も、最高のヒーローだ 本当にありがとう」(アニメ FINAL SEASON・通算168話)
三人で、オールマイトのポーズのように拳を上げます。
こちらまで、もらい泣き。
こんな光景が見られるなんて、思ってもいませんでした。
「これも君自身が勝ち取った力だ!」
8年後。
デクは雄英高校の先生になっていました。
そこへ、オールマイトがスーツケースを持って現れます。
「サプライズプレゼントしたくてね」
スーツケースは、デクの目の前で形を変えていきました。
海外の友人と、発目少女の協力。
そして、爆豪たちかつてのA組のみんなが、デクのために力を合わせて用意したものでした。
「バレてるぜ まだ体が動いちまうんだろう? 肝に銘じておきな! これも君自身が勝ち取った力だ!」
デクの腕に、アーマーがはまります。
3話でワン・フォー・オールを譲ったとき、オールマイトは「これは君自身が勝ち取った力だ」と言いました。
3話は、オールマイトが譲った力。
最終話は、デクがこれまで結んできたつながりから集まった力。
同じ「君自身が勝ち取った力」という言葉が、8年をへて、ずっと大きな意味を持っていました。
デクの目から、涙がこぼれます。
ここでこれを言うのか、と感動しました。
外に出ると、爆豪とA組のみんなが待っていました。
あ〜最高、と思ったのと同時に、私も涙が出ました。
生きて、守り育てる。
50話でお母さんと交わした約束は、ちゃんと果たされていました。

オールマイトの名言が今も刺さる理由
オールマイトの言葉は、物語が終わった今も心に残り続けます。
その理由を、3つにまとめました。
怖さを知っている人の言葉だから
オールマイトは、怖いものなしのヒーローではありませんでした。
2話で打ち明けたように、笑顔は恐怖から自分を守るためのものでもありました。
怖さを知っているからこそ、「怖い時こそ笑っちまって臨むんだ」という言葉には重みがあります。
平気なふりをして毎日を乗りきっている人ほど、この笑顔に自分を重ねてしまうのかもしれません。
弱さを口にしても、うそがなかったから
「悔しいが私も人だ」「無力感がね、沸々と湧いてくるんだ」「私だけが、ヒーローから遠ざかり続けている」。
No.1ヒーローの言葉とは思えないほど、弱い言葉もたくさんあります。
それでも、ごまかしたり強がったりはしていません。
弱さをそのまま言葉にできる大人だったから、そのあとに立ち上がる姿がまぶしく見えます。
教え子から学び続けた大人だったから
オールマイトは、教えるだけの先生ではありませんでした。
デクの「余計なお世話」に自分を重ね、爆豪には自分の見落としを謝り、最後の戦いではA組の生徒たちの個性を借りて立ち上がりました。
いくつになっても、若い人から学ぶことをやめない。
その姿が、見ている大人の背中まで押してくれます。
まとめ:ヒロアカ・オールマイトの名言が教えてくれること
「私が来た」と笑って現れたNo.1ヒーローは、その笑顔の裏に、ずっと怖さと重圧を抱えていました。
力を失い、守られる側になり、何もできない自分を責めた日もありました。
それでも、教え子たちや、かつて救った人たちに支えられて、オールマイトは何度でも立ち上がります。
1話で黒く塗られていた目は、最後の戦いで白くなりました。
平和の象徴としてではなく、ひとりの人間・八木俊典として戦った人の言葉だから、今も私たちの胸に届くのだと思います。
子どもと一緒にアニメを見てきた親として、私はオールマイトを、強さよりも「人として」かっこいいヒーローだと感じています。
怖くても笑って立つ。誰かのために、もう一度駆け出す。
オールマイトの言葉は、これからも私のそばにあり続けると思います。
<あわせて読みたい>



コメント